屋外掲示の印刷物の耐光性

先日「印刷物の褪色について」というテーマでブログを書きました。
その中で紹介した「耐光性顔料を使用したインキ(耐光インキ)」を使用する印刷物の代表選手はポスターです。
特に屋外に掲示するものは必ず耐光インキを使用します。
しかし耐光インキで印刷したからといって、褪色しないわけではありません。
普通のインキで印刷するよりも、褪色を遅らせることはできる程度と考えた方が無難です。

さらに、印刷オペレーターの技量によっても左右されます。

オフセット印刷は水と油の反発する原理を利用して印刷をします。
版に水を提供すると、親油性の画線部には水がのらず、代わりに油性のインキがのってそれが転写されます。
水の量が多いとインキの着肉性が悪くなり、十分な耐光性を発揮できない場合もあります。
インキの盛り量も影響します。印刷面を汚さずにしっかり”インキを盛れる”(濃度を出せる)技量も求められます。

耐光インキを使用する場合は、印刷機のメンテナンス状態とオペレーターの技量のある会社を選択することをお薦めします。

屋外で使用されるといえば選挙ポスター。
屋外で日光を浴びる選挙ポスターには当然耐光インキが使用されますが、インキだけでなく用紙の選択にも注意が必要です。
年間の降雨日数が約3割という日本において、普通の紙ではすぐにだめになってしまいます。なので屋外で使用する場合、通常下記いずれかの方法を取ります。

ユポ(合成紙)の使用
選挙ポスターでもっともよく使用されるのはユポという品名の合成紙。
ポリプロピレンを主原料にした、いわゆるプラスチックのシートです。
【メリット】
水を含まないため雨が当たる場所での掲示に向いています。
破れにくく耐久性に優れます。ハザードマップなどにも適しています。
【デメリット】
プラスチックのシートであるため、紙のように再生原料として回収されず廃棄物になります。プラスチックごみの使用量を削減したい方向性とは逆の製品、今後使用しにくくなると思われます。
また印刷難易度が高く、オペレーターの技量やノウハウを必要とする材料です。非常に高価でもあります。

PP加工
耐水性を高めるために、印刷表面にポリプロピレンの膜を圧着させる方法です。
表面に光沢が出て艶のある仕上がりになります。マット調のものや、エンボス加工されたものもあります。
【メリット】
印刷物の耐久性・耐水性を高めると同時に見た目に変化を持たせることができます。
また合成紙ユポを使用するよりコストを抑えることができます。
【デメリット】
雨が当たる場所では、裏面印刷物側の紙が水分を吸収し、PPフィルムと印刷物が剥がれることがあります。層間剥離といいます。
また、PPフィルムに阻まれて水分が蒸発せずに濡れたままの印刷物に日差しが当たると、紅の顔料だけ分解して色が落ち、せっかくの写真がひどい状態になってしまいます。これを加水分解といいます。
さらに、使用しなくなった印刷物は、紙だけなら資源として回収されて再生原料になるのですが、PPフィルムが貼ってあると廃棄せざるを得ません。廃棄物減量の観点からはマイナスになります。

LIMEX(石灰石からできた新素材)
石灰石の成分、炭酸カルシウムなどの無機物を50%以上使用した新しい素材。
少しマット感があり、ユポと同じような風合いのシートです。
【メリット】
ユポ同様耐水性が非常に高く、屋外での使用に向いています。水中での筆記も可能です。主原料が石灰石のため、プラスチックの使用量を抑えることができます。
製造に水や木材パルプを使用せず、森林資源や水資源の問題に貢献できます。
再生資源としても適していて高効率なリサイクルが可能です。
【デメリット】
ユポに比べると紫外線劣化が早い傾向があります。
紫外線耐性を高めた製品で屋外6ヶ月、通常品だと3ヶ月程で劣化がはじまります。
ぼろぼろと石灰に戻っていく感じです。

それぞれのメリットデメリットをよく考えての使用をお薦めしたいですね。

選挙といえば半田市では、6月初めに市長選があります。
コロナ禍の影響もあり、時代の変化がより大きく速くなっている状況下、
それぞれの候補者の考えや姿勢をよくみて、
この荒波を乗り越えて次の社会をつくっていくのに適切な人を選びたいものです。
一般的に若い世代の投票率が低いと言われますが、将来を自分事としてとらえ、誘い合って投票にいきましょう。