デザインの話「カタチ-前編」

普段生活をしていても「カタチ」について深く考えることはあまりないかと思いますが、○や△や□のようなシンプルな図形をあらためて見てみると、すでにそれだけで独自の印象があると感じませんか?図形ごとに私たちの心理に与える影響が違うのです。
グラフィックデザインこのようなさまざまな図形と文字を使用して、効果的な情報伝達と受け手に印象を残す作業と言えます。
そんな、「カタチ」が持つパワーについて理解しましょう!

カタチの特徴を知ろう!

複雑な図形と単純な図形

○や△や□のように線がつながっているシンプルな閉鎖図形は図形として見られやすい。つまり印象に残りやすいのです。一方ぐにゃぐにゃとした線や図形などは、なかなか図形として捉えにくい。つまり印象に残りにくい。と言えます。


広告は印象に残ることに意味があります。特にマークやロゴタイプは簡潔なカタチを選んだほうが効果的です

図と地

人は何かを見る時に「全体」を見ず、ある一部分に注意を向けます。その注意を向けている部分を「図」それ以外の背景的部分を「地」と言い、それらは「図」の「輪郭」によって分断されています。
しかし「地」の部分に注意を向けて見てみると、それが「図」として認識され、今まで「図」だったものが「地」に逆転してしまいます。

と、何を言ってるかよくわからないかと思いますので、有名な「ルビンの壷」をご覧ください。

どこを見るかによって「図」と「地」が逆転します。

色・大きさなど様々な要素によって「図」と「地」が認識されますが、傾向として凸形に外にふくらんでいる図形は存在感のあるカタチ「図」に見られ、逆に凹形にへこんだ図形は、図としての存在感が薄いどころか、存在感のないものとして見られやすくなります。これを利用して「図」と「地」をコントロールしてください。

丸と角

丸いカタチは豊かさや暖かさを感じさせ、尖ったカタチは痛みや欠乏感、冷たさのような感情をひき起すこともあります。
一般には丸いカタチは女性的あるいは感情的、尖ったカタチは男性的あるいは理性的に見られやすい傾向があります。

カタチを組み合わせよう!

カタチの組み合わせで「図」を作る

人は「一定の規則を持ってまとまっているもの」を見る時、それを個々の要素として捉えずに「まとまり」として捉えます。
そのまとまりが「図」となれば、「輪郭」を感じ、その外側には「地」が生まれます。

秩序のある組合せ

デザインやレイアウトでは、図を配置して組み合わせることで、ある印象を演出します。なので、図そのもののカタチだけではなくて、図の相互関係も重視されます。

近くに配置されているか、離れているのか。組み合わせるカタチが同じか、違うカタチか。こうした違いにより、まとまって見えたりバラバラな印象になったりして、効果も違ってきます。

まとまった印象にするには、「並んでいる。連なっている。」「方向が揃っている。」「近くに配置されている。」などが有効で、にぎやかな感じや豊富な感じを出す時には、バラバラな組み合わせが有効です。しかし無秩序になりすぎると散漫な印象、あるいはただうるさいだけの印象になりますので、このバランスがむずかしいところですね。

デザインには伝えるべき内容があるはずなので、その内容をよく理解してそれに合った「秩序」を考える必要があります。

また、デザインに曖昧さは禁物です。揃えるところはきちっと揃える。ズラすところもきちっとズラす。これが基本になります。微妙に揃っていないとか微妙に大きさが違うとか微妙に傾いているなどなど、曖昧さは見る側に不安感を与えてしまいます。これはカタチだけでなく「レイアウト」「色」「フォント」「写真」など、グラフィックデザインを構成するすべてのものに当てはまります。

いかがでしたでしょうか?カタチって奥深いですね。
後編もお楽しみに!


参考文献:和田義徳/福原節寿.印刷メディアの基本設計,社団法人日本印刷技術協会,2000

デザインの話「書体-和文編」

前回の欧文書体に続いて、今回は「和文」のお話です。
和文の特徴をマスターしよう!

和文とは、いわゆる日本語のことです。和文書体はひらがな・カタカナと約2000字の常用漢字が含まれますので、26字のアルファベットと比べると、とんでもなく種類が多いことがわかります。
なので、和文書体は欧文ほどのバリエーションはありませんが、書体の選択は全体の雰囲気を左右する重要なポイントです。一文字ずつを比べると一見似たような書体でも紙面全体に渡って使われることでイメージが変わってくることもあります。

明朝体

筆文字が原型になっているために縦線に比べて横線が細く、線の端に「ウロコ」と呼ばれる筆文字の止めに当たる部分が付いているのが特徴。柔らかく格調高い印象があります。

書籍などの本文用活字として最も普通に使われています。明朝体は欧文のセリフ体と同じような印象を持ち、「落ち着ついている」「やわらか」「繊細」「気品がある」「古風」「女性的」「アナログ」といった印象を持っています。

ゴシック体

縦と横の線の太さに差がなく、明朝体に比べやや角張っていて力強さを感じるデザインです。
ゴシック体の中でも筆の運びを意識して作られたセリフ系と幾何学的なサンセリフ系に分かれます。

ゴシック体は欧文のサンセリフ体と同じように、「元気」「固い」「強い」「はっきりしている」「先進的」「男性的」」「デジタル」といった印象を持っています。
ちなみに欧文で言うところのゴシック体は、

こういう書体のことを指すのでご注意を。和文のゴシック体と似た欧文書体は「サンセリフ体」ですのでお間違いなく。(前回投稿参照

和文の構成要素

和文書体は「仮想ボディ」と呼ばれる正方形の中に骨格となる線を描いて、肉付けをしていきます。ですので、文字は仮想ボディの外 に出ることはありません。実際の文字の大きさは仮想ボディよりも小さく、「字面(じづら)」と呼ばれます。字面は1 文字ずつ異なります。
伝統的な書体は字面が小さく、現代的な書体は大きい傾向があります。

骨格とフトコロ

文字を線で表したものを骨格と呼び、線で囲まれた部分を「フトコロ」と呼びます。フトコロが広いと開放的で軽快な印象となり、狭いと引き締まったまとまりのある印象となります。現代的な書体はフトコロが広い印象があります。

グラフィックデザインは、文字・写真・図版を使用して、そのレイアウトや配色などを考え、情報やメッセージを伝えるもので、この伝えたい情報やメッセージの内容によって、どの書体を選択すればいいのかが八割くらいは決まってきます。

和文書体には明朝体・ゴシック体に分類されないような様々な書体が存在しそれぞれの雰囲気を持っていますが、全体的に言えるのは伝えたい内容と書体の雰囲気がミスマッチだとデザインにも違和感を感じてしまうということです。

様々な書体が存在しそれぞれの雰囲気を持っています。
伝えたい内容と書体のミスマッチは違和感を引き起こします。

書体選びは重要です。なんとなく選んだり好き嫌いで選んだりすると、伝えたい内容が正しく伝わらないこともありますので、伝えたい内容をよく理解して、その内容にあった書体を選びましょう!

デザインの話「書体-欧文編」

最近はWEBデザインでも書体に凝ることができるようになってましたが、選ぶフォントひとつでWEBもグラフィックも印象が随分と変わります。
今日はそんな「書体」についてのお話です。まずは欧文書体から。

欧文の特徴をマスターしよう!

欧文とは、いわゆるアルファベットのことです。欧文書体には非常に多くの種類があり、一目見ただけで「まじめそう」「古い感じ」といった雰囲気が伝わってきます。
欧文は大きく分けて「セリフ体」「サンセリフ体」「それ以外」の3つに分類することができます。

セリフ体

文字の端にセリフという飾りがついたものがセリフ体です。日本語フォントでは明朝体と呼ばれるものが欧文フォントのセリフ体に当たります

赤いところが「セリフ」です。

セリフ体は、「落ち着ついている」「やわらか」「繊細」「気品がある」「古風」「女性的」「アナログ」といった印象を持っています。

どちらかというとセリフ体は落ち着いたイメージです。高級感を演出したいときなどによく使われているようなイメージです。印刷物で長文のもの、文庫本などはセリフ体の方が可視性が高いため多く使われているようです。 筆で書いたときのような「とめ」や「はね」、線の強弱がしっかりあり、機械的な感じがしないのも特徴に感じます。

サンセリフ体

文字の端にセリフがついていないものがサンセリフ体。 サンセリフとは「セリフがない。」という意味で、日本語フォントではゴシック体と呼ばれるものがサンセリフ体に当たります。
その登場はセリフ体よりずっと後です。当時は「グロテスク体」なんて呼ばれ方をしていました。グロテスク・・・セリフがないことに最初は違和感があったようですね。

サンセリフ体は、「元気」「固い」「強い」「はっきりしている」「先進的」「男性的」」「デジタル」といった印象を持っています。

セリフでもサンセリフでもない欧文

セリフとサンセリフ以外にも、手書き文字のようなデザインの「スクリプト」、ゴシック系と呼ばれる古典的な書体の「ブラックレター」、自由にデザインされたデザイナーズフォントなど、欧文フォントのバリエーションは和文に比べると豊富です。しかしこうしたデザインの特徴が強いフォントは、長文やじっくり読ませたい文章には不向きです。

デザインフォントはタイトル向き。 じっくり読ませたい文章には不向き。


欧文の構成要素

欧文はファイブラインという5つの線で構成されています。

この中でとくに大事なのは「エックスハイト」。このラインが高いと小文字が大きくなり、「力強くモダン」な印象になりますが、圧迫感が出てしまいます。長文で使うと読みにくくなることもあるので、そうした場合は行間の調整が必要です。

エックスハイトが低いと、繊細・伝統的な印象に。

エックスハイトが高いと小文字が大きくなり、 「力強くモダン」な印象に。

カウンター

カウンターとは「C」「O」のように文字の中にある空間のことで、これが広いと「開放感」があり、「軽やかでモダン」な印象になり、狭いと「密度感」や「力強さ」を感じます。

開放感がある。軽やかでモダンな印象。
密度感・力強さを感じる。

おまけ 「イタリック」と呼ばれる斜体について

斜め書体のほとんどは、イタリック(Italic)と言う名前が付いてます。この斜め書体、デザインのアプリケーションが進化した今日、斜めにするなんてあっという間にできてしまいます。こんなふうに。イタリック体ってほんとに必要なんでしょうか?

イタリック体って必要?

じつはただ単に斜めにしただけの書体は「オブリーク(Oblique)」と呼ばれるもので、イタリックとは別物なのです。斜めの書体の名前を見てみると書いてあります

ただ単に斜めにしたオブリークに対して、イタリックは斜め専用にデザインされた書体のことなんです。

イタリックは斜めにデザインされたもので、別物なのです。



さて、最近では「かんたんなデザインは内製化だ!」とか、自社サイトのオウンドメディア化が進んだりなんかして、デザインの経験がない方でも書体を選定する機会が増えていると思います。

この記事が書体選定のお役に立てれば幸いです。

デザインの話「色編」

印刷物のデザインは、いわゆる商業デザインというもので、販売促進や集客・営業等に関わるデザインのことを指します。明確な目的があってデザインされるもので、「アート」とは違います。
その目的を達成するために、どんなメインビジュアルにしようか?どんなコピーにしようか?どんな色使いにしようか?などなど、ターゲットに刺さるデザインを日々考えております。

そんなデザインの中で重要な役割を果たす「色」。
色が与える印象はとても大きく、デザインの重要な要素です。
例えば、美味しさを表すのであれば暖色系、精密さを表すのは寒色系など、ある程度のセオリーが存在していてます。

こちらをご覧ください。

まぁ、普通に美味しそうですね。


はい、 いっきにまずそうになりました。

このように色が与える影響というのは非常に大きいものなのです。
色が持つイメージと一緒に写るもののイメージがかけ離れていると、違和感を感じてしまうことが多くあります。



さて、初心者デザイナーがよくやってしまうよろしくないデザインで「色数が多すぎる」というものがあります。
半田中央印刷には「デザインレビュー」と呼ばれる「そのデザインはきちんと目的をはたせるものなのか?」をチェックする工程があり、そのデザインレビューで、何度も何度も伝えてきたこと。それが「色数が多すぎる」です。
色数が多いことは、なぜいけないのでしょうか?

きちんと色に意味を持たせて、色がキーワードになり計画的に多く色が使われるデザインには問題ありません。しかし適当に色を選んでデザインをしていくと、意味のない色が増えていき、最終的には・・・

こんな印象になります。
色が反乱してごちゃごちゃしていますね。むやみに色数を増やしていくと、こういう印象になるわけです。これと似たものを見たことがあると思います。

はい、ノイズです。

色数を増やしていくと、最終的にはノイズになってしまいます。もう美しさとは対称のものになってしまいました。
サンプルのチラシを乗せたかったのですが、そのチラシをディスることになってしまうのでコンプラ的にNGなのでやめておきます。

では、美しさはどんな時に感じるでしょうか?
下の写真を見てください。

はい、美しいですね。
もちろん個人差もあるかと思いますが、人は色が統一されているものに美しさを感じているのではないでしょうか?

花束もいろんな色がごちゃごちゃと入っているものより、色のテーマを決めて統一されたもののほうが美しく感じませんか?

これらよりも・・・


こっちのほうが美しくないですか?

というわけで、少し乱暴ではありますが、

色数が多すぎる=美しくない。
色数が少ない=美しい。

ということをご理解いただけたでしょうか。
美しくない例としてあげた繁華街も

こうすれば、ちょっといい感じですね。