印刷会社における化学物質のリスクアセスメント④

有機溶剤は次々と改善されより安全なものが出てきます。しかし、それは洗浄力が落ちたり、使用量が増えたり、価格が上がったり、作業効率が下がるなど、なかなか代替品を探すのは大変で時間と労力を費やします。でも本当に大切なことは、同じ職場で働く仲間の健康を守ることです。そのためには、常により有害性の少ない有機溶剤を探すことを怠らないようにしています。


まず始めは当時の使用していた有機溶剤を洗い出してみました。
上の表が10年前の化学物質管理表です。ここで大事なのは、過去の使用履歴が残る
管理をしていくことです。

新しい有機溶剤に代替したり、法規が変わったりなどすれば化学物質管理表を更新しました。新しい設備が入れば当然、使用する有機溶剤も変わることがあります。
しかし、過去に使用した有機溶剤の履歴は必ず残すようにしてきました。

その結果、当社の化学物質管理表は10年間で改定21版になりました。

そして、今では有機溶剤の保管量も消防法に遵守し管理しています。

新しい有機溶剤を使用するとき、忘れていけないのは必ずリスクアセスメントを行い
リスクアセスメント実施一覧表の更新をすること、SDSの読み合わせをすることです。

上の表は初めの頃の有機溶剤のリスクアセスメント実施一覧表ですがこれも、更新を続けましたが、これはあくまで作業に関するリスクアセスメントでした。

最新版では日印産連のリスクアセスメントをモデルとして化学物質に関するリスクアセスメントを自社に合うようにアレンジして行っています。
現在、使用しているものも、絶対に安全なものはありません。後になって危険性がありましたということも出てくるかもしれません。
私たちが出来ることはSDSを理解し、正しい使い方をすることだと思います

印刷会社における化学物質のリスクアセスメント③

化学物質を取り扱うにおいて忘れてはいけない大切なことは法規要求事項の遵守です。当時、私たちが知らなかったこと、守れていなかったところの話です。

1.半田医師会健康管理センターの作業環境測定士による作業環境測定を実施しました。
 第2種有機溶剤、当社であればジクロロメタン、IPAを使用していたため半年ごとの
 作業環境測定をする必要がありました。

2.有機溶剤作業主任者講習の受講と主任者の任命
 当時、一人も受講したものがいませんでしたがこれをきっかけに毎年のように
有機溶剤を扱う者が受講し修了しています。

3.工場内に有機溶剤に関する注意表示をする。

現在、黄色の第2種有機溶剤等の表示は外してあります。今になって思えば黄色の看板を取り付ける前に第2種有機溶剤の使用やめることの方が大事なことでしたね。
当時のことを振り返り、自分にとっても復習になりましたが本当に大切なのは、
この先の定着させるための管理だと思います。次回は定着、管理、アップデートなどについての話をしたいですね。


印刷物製造における工場での異物・不快害虫等侵入防止対策について

2021年6月1日より、食品を製造・加工する会社や、飲食店営業者について
HACCP(ハサップ)の考え方に沿った衛生管理の実施が求められます。
昨年令和2年6月1日に施行された基準の完全施行ということになります。
管理の手法に関するもので、施設や設備の更新は求められておらず、また、第三者認証も必要ありません。
保健所による定期的な立入等の機会に食品衛生監視員が確認をし、実施状況に不備のある場合に改善指導や助言が行われるということで、当面試行錯誤の実施ということになりそうです。

当社は食品包装関連の印刷物を一部製造していますので、
各事業者の皆様がどのような動きをされるのか関心を持っています。
包装資材といっても、食品に直接触れるものでなければリスクとしては低いのですが、例えば、不快害虫が包装紙に付着していたりすれば、ブランドへのダメージとなることは容易に予想されます。

虫はどんなに小さなスキマからでも入ってきます。
閉鎖された室内でも網戸のスキマから入れるくらいのノミバエやショウジョウバエなどは侵入してきます。
屋内で繁殖する場合もあります。
食物残渣が発生する工場では特に注意が必要でしょう。

当社では包装印刷物を安心して利用いただくために
小さな会社のできる限りですが不快害虫の侵入対策をとっています。

【対策】
清掃はもちろんですが
・窓ガラスに目張り
・設備搬入口は目張りとボードで塞ぐ
・工場周り敷地内の雑草を定期的に除草(草刈り)

【監視】
侵入状況を確認のため、ライトトラップを設置して毎月のモニタリング

屋外との出入りのある箇所のトラップと対策をした作業室のトラップとの比較

【混入防止の歯止め対策】
画像検査機で機械的に検査。
検査性能がよく、元々の用紙に漉き込まれていたような微細なゴミまで
リジェクトします。ただし歩留まりは悪化します。


数年前まで人の目で検査をしていました。
人の目で検査をするとどうしてもムラが発生します。
大きなトラブルを発生させてしまった苦い経験もあります。
また、人の目で検査してもし異物混入が発生してしまったら。
検査者は大変な責任を感じることになります。
そのストレスから解放することも大事なことだと思っています。

印刷会社における化学物質のリスクアセスメント②

まず、勉強会で得た知識により報道前の活動から始めたいと思います。化学物質を取り扱うにあたり、大事なことはSDSを理解すること、そして正しい管理をするため法規を理解することです。そのあとに次の段階へ進みます。

そして当時の現状を整理し、チェック表を作成しました。

そして、チェック表を元に改善を進めていくことにしました。
 1.化学物質のリストを作成する
 2.溶剤の揮発を極力抑える
 3.ジクロロメタン含有の洗浄剤の代替品を探す
 4.法規要求事項を遵守する
 5.ジクロロメタンを含まない洗浄剤に変更する

まずは当時、使用している、過去に使用していた化学物質のリストを作成しました。
下の表は当時のリストの一部を抜粋したものになります。

溶剤の揮発を極力抑えることに関してはすぐにできることから始め、使用済みのウエス、インキの残肉、小分けして使用していた洗浄剤の容器に蓋をすることを徹底しました。

ジクロロメタン含有の洗浄剤の代替品を探す(当時ジクロロメタンは第2種有機溶剤)
顧問から指摘を受けたとき、ジクロロメタン含有99%の洗浄剤を使用していました。
サンプルテストを何度か繰り返しましたが乾燥不良、臭い、価格、消防法などの色々な問題があり結果、ジクロロメタン含有50%、ミネラルスピリッツ含有50%の洗浄剤を使用していくことにしました。とりあえず以前より安全な代替品を探したことに満足してしまいました。ここが反省がすべき点でしたね。この辺りの活動中に1,2ージクロロプロパン、ジクロロメタンに発がん性の疑いがあるという新聞報道があり、ジクロロメタン含有の洗浄剤の使用をやめ、法規要求事項の遵守へと進めていくことになります。

次回は法規要求事項の遵守作業環境測定の実施などの話をしたいと思います。

印刷会社における化学物質のリスクアセスメント①

2011年9月 取り組み開始

半田中央印刷では10年前に顧問から危険な化学物質を使ってることを指摘されて
から改善活動を通じて健康的職場作りに取り組んでいます。
顧問に指摘されるまでは市販されている有機溶剤は安全なものであると思い込んで
いたため全く無頓着でした。そこで顧問による有機溶剤を理解するための勉強会
から始まりました。

しかし、この時点ではまだ我が身に危険が降りかかっているという危機感があまりなく知識は得ても直ぐに行動には移らず、ゆっくり代替の有機溶剤を探している状況でした。そんな矢先に下の写真の報道がありました。

2012年5月 印刷会社で有機溶剤が原因による胆管がんの報道


記事の中にジクロロメタンとあります。私たちは長年にわたり、この化学物質が含まれる洗浄剤を使用していました。なんとジクロロメタンは顧問の勉強会で早く使用を止めるよう指摘された化学物質だったのです。
この時に初めて危機感を持ち、すぐに行動に移さなかったことを反省し、早急に
化学物質のリスクアセスメントに取り組むことにしました。

次回以降はその後10年間の取り組みを紹介していきます。